2024.6.13改稿
最近、台湾有事ってよく聞くけど、それってどういう意味なの?
中国が台湾を実効支配をするために中国軍を台湾に派兵するという意味なんだ。
えー、怖い!誰がそんなことを言ってるの?
アメリカのシンクタンクが想定的被害なんかを発表してるね。日本の識者が語ることもあるよ。
有事の際にはまず日本にミサイル攻撃がされるとまで言ってることもあるんだ。
本当にそんな事、起きるの?
中国軍が台湾に上陸することはあるかもしれないけどそれが「有事」とは言えないんだ。
えっ、派兵したのに?
うん、実は1949年に中華民国は中国共産党に破れて台湾に撤退したんだ。それからいろいろあったんだけど、中国は「一つの中国方針」を元に「台湾は中国の一部だ」と主張している。
えっ、別の国じゃないの?
台湾には中華民国憲法もあって実態としては独立した自治が行われているんだよ。でもこの「台湾問題」は国際的にはセンシティブと扱われていて、国連加盟国では12ヵ国、非加盟国で2ヵ国の14ヵ国が国として承認している状態なんだ。しかも年々減っている。
中国が圧力をかけてるの?
中国経済が近年台頭するなかで世界中で中国との貿易を行っている国が増加していて、その結果、あえて中国の主張に反対していた国が方針を変える国が多くなっているのが一番の理由だね。日本も台湾とは友好的な立場を取りながらも正式には国としては承認してないし、アメリカも同じだね。
アメリカも!でもアメリカのシンクタンクが台湾有事が発生した際の想定被害をまとめたレポートを出しているでしょ。
政府ではなくシンクタンクが、ということがポイントなんだ。アメリカには民主党と共和党という2つの政党がいて、入れ替わりで与党になっている。野党になった際には現在の与党に批判的な立場を取るのが定番。国際的な問題に対する与党の姿勢を批判材料にすることも多いんだ。
アメリカも台湾に対しては友好的なんでしょ。
うん、アメリカは台湾問題では平和的解決をするように中国を牽制する発言を続けてるね。
それで有事とは言えないと言うのは何故?
うん、中国が台湾を含めて一つの中国と言うなら中国軍が台湾に上陸しても、それを侵略とは言い切れないからなんだ。
ロシアがウクライナに侵略しているのは?
うん、ウクライナは国際的にもロシアとは別の国と認識されているからね。だから他の国もロシアの行為を侵略と批判している。
中国軍が台湾に上陸しているのに批判できないんだ。
同じ国ならばそれは侵略ではなく「国内の軍備の再配置だ」と中国が主張するとそれに反論しにくいね。しかも台湾軍の方が先に発砲することでも起きたら、中国はそれを「軍事的クーデター」と主張するだろうね。
他の国はそこまで動かないのかな?
各国はロシアの行為を侵略と批判しながらも自国の兵力をウクライナに投入することはしないよね。
日本に事前に攻撃することもないの?
中国は台湾軍が抵抗しないのであれば無血開城を果たすことも可能だから、他の国にわざわざ先制攻撃をする必要もないよ。
でも中国軍が上陸する危険性はあるんでしょ?
中国が台湾を実効支配したいとは思っていてもそれを実際に行った際のデメリットが大きいんだ。
もし中国がそのような行動に出ればアメリカは経済制裁をするだろうし、多くの国が貿易を中止しかねない。
しかねない?
ロシアに対してはヨーロッパ各国が天然資源の輸入を停止しているけど、ロシアと親露派の国との貿易は未だに続いている。ましてや安価な中国製品は各国の経済にも根付いているのが現状だね。
まだ危険性はあるんでしょ?
うん、でも中国では不動産バブルが弾けて経済が低迷しつつある。他の製品でも実際に商品が届かないというトラブルも起きている。台湾統合が悲願でも博打をして中国経済を崩壊させてまで叶えることとは言い切れないね。
でも危険性を報じているのは続いているよね?
全く起きないとは言い切れないからね。確かに危険性はあってそれを言わないのも危険かもね。ただ「起こりうる」と「起きる」というのは違うよ。「起きない理由」も話すうえで語るのはいいけど都市伝説としてただ危険性ばかりを煽るのは間違いだよ。
そっか、両方の状況も考えたうえで情勢をみるべきなのね。
特にそういう危険性を語ることを商売にしている人の話は逆説も自分で考えながら聞くべきだね。
そういうことも想定していても必要以上に不安になることはないのね。
うん、多様性がある考え方が大事だね。好きな人が言うことだからと鵜呑みにし過ぎるほうが一番危険なんだ。それにそういう人に限って日本と中国との関係について話の中に含めずに語ってる。
どういう関係なの?
田中角栄に関しては悪い話も多いけど、日中の国交回復に尽力したんだ。その際に、「日中共同声明」が発表されている。1975年のことだね。その後に福田赳夫が総理だった際には「日中平和条約」が締結されている。
平和条約を結んでるの?
その頃の中国はソ連との関係が悪化していたので隣国の日本と平和条約を結ぶことに意味を見出していた面もある。でもそれだけではなく、当時の日本の姿勢も大きく関与している。平和五原則を基に、覇権を求めないこと、武力を行使しないこと、文化・経済の交流をはかることなどを定めているんだ。
えー、覇権を求めないって、中国が台湾侵攻という強行もダメってことでしょ。
詳しくはインターネットなどで紹介しているのを見たほうがいいね。少しだけ抜粋すると「中華人民共和国政府は、台湾が中華人民共和国の領土の不可分の一部であることを重ねて表明する。日本政府は、この中華人民共和国政府の立場を十分理解し、尊重し、ポツダム宣言第八項に基づく立場を堅持する。」とある。
今、よく聞く「一つの中国」を認めてるじゃない!
そこなんだ。台湾は政治闘争などの不幸な出来事から蒋介石と中国国民党の残党は台湾に逃れた。そこから分離が始まっているけど、平和的な解決で統一することもありえる。それこそ水と油だった戦後のドイツだって奇跡的な統一を果たしている。どちらが支配ではなく、平和的に両国が手を結んで統一国家となることもあるよね。
そっか。
うん、台湾の労働力の1割近くは大陸で仕事をしている。貿易という面でも両国はむしろ切っても切り離せない関係でもある。それに元はひとつの国だからね。
なんで危険視されるのかしら。
あまりにも中国共産党の力が強すぎるからね。平和的な統一で始まっても支配関係になりかねないと危惧するんだよ。ただね、強行的とされる習近平ですら未だに有事などということはしていない。ある意味、経済的な関係性が良い意味での壁になっている。
そうなると、日本が台湾を国として認めていないのも分かる気がするわ。
台湾有事は日本有事だと言い出した人もいるけど、かなり状況が似通っている韓国を考えれば韓国有事とも言えてしまう。でも韓国で日本ほど加熱報道をされているわけじゃないね。だいたい中国は経済的な航行の閉鎖なんて興味がないし。そんなことをしたら軍事的な面、人的な面で中国は自らに多大な負担をかけることになる。西側を見れば中国は他国と国境紛争の問題を抱えている。東側への負担がそちら側にも影響を出しかねないね。
そうね。普通に考えればあまり起きないことなのかも。
みーこの心配もあっていいんだよ。でも、この問題を語るのに、タラレバを本当に起きることのように語る嫌いがあるし、最近では「起きない」と論ずる記事も見かけるようになったね。でもね。最近では「空が赤くなる前に」とか言って日本がEMP攻撃を受ける危険性を唱える人も出てきたね。
そういう攻撃ってあるの?
上空30km以上で核爆発を起こすとガンマ線か発生して空気に触れ合うことで電磁波が発生する。強力なパルス状の電磁波をEMPと言うんだけど、それが電子機器を破壊するんだ。電磁波の拡散力はとても速く600〜2000kmの地上に影響が出るとも言われている。
だったらあり得るんじゃないの?
うん、机上の話ではなく実際に大気圏内で核爆発を起こしてその影響を観測する実験も行われているよ。
ますます怖くなってきたわ。
宇宙に限らず地上でも太陽フレアによる電磁波の影響を受けてしまうことすらあるんだ。だから既に電磁波吸収体で保護されている。ただEMP攻撃では想定を越えた電磁波を受けるだろうね。国際宇宙ステーションにはロシア、アメリカ、日本、ESAなどのクルーが交代で乗員している。生命維持に関わる装置などが故障したら大変だね。
そういう方々にも危険が及ぶこともあるのね。
それこそタラレバになってしまうかな。
なんだか曖昧なことが多いわね。
ミサイルで戦車を攻撃するのではなく敵国の上空の大気を破壊するという時点でその影響を考えるには想定の域を越えないんだ。核爆弾の規模によって地上にまったく影響が出ないこともあるし、世界中に多大な被害を及ぼすこともあり得る。ピンポイントで敵国だけを攻撃するような手段ではないんだよ。それに確実に実行するならミサイルではなく航空機による運搬をするどろうけど、そんな航空機の領海侵犯を簡単には許さないだろうね。
そうね。そんなものを使う国があるのかしら。
核兵器を保有している国なら可能だけど、それをやるかどうかは別の話だね。実際、核攻撃も第二次世界大戦で日本がアメリカから受けた攻撃以来、実戦では使用されていない。だからといって僕も二度と使われないとは言えないな。ただ物知り顔をして、人のことを平和ボケと笑う人もいるけど、それも違うと思うんだ。
平和ボケって言葉はよく耳にするわ。
確かに聞くね。でも危機感が無いというのとは違う。台風が来ているのに川の様子を不注意に見に行くのは危険だよね。でも戦後に生まれた子供がそのまま戦争を知らずに生きていけることは十分に幸せなことなんだ。
確かに陰謀論って知ってどうなるということが多いわね。
そんなことを意識せずに幸せに暮らすことも大事だね。それを作られた幸せとか言い出したら、きりが無い。それよりも誰かが言う陰謀論のことばかりを信じて生きることのほうが不自由かも。いつでも自分を見直せるという気持ちが大事だね。
そうね。自分が信じるものは自分で決めたいもん。いろんな人の言うことに耳を傾けるようにするわ。
都市伝説を見たり聞いたりするのは面白いけど、最近はなんだか言ってることが過激になり過ぎている嫌いがあります。もう大抵のことでは驚かなくなってきていて、話の危なさ度合いがインフレしているように感じます。それに何だか言いっぱなしになっていて、あれはどうなったのということも多過ぎますね。平和ボケ以上に過敏なんじゃないとも。またそういうことを語る人って何か人を見下した感がぷんぷんします。そんなに馬鹿にされて皆さん、楽しいですか?「そういうこともあるかもね」と思いながら聞くのが大事ですね。
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