SPAWN #28

Al:Spawnは図らずも地獄の尖兵として蘇ってきて以来、ずっと災いが降りかかってきた。警察やマフィア、殺人サイボーグまでが命を狙ってきた。そしてまた一人、The Curseという狂信者が「神に命じられた」と言ってAl:Spawnに襲いかかってきた。
もうたくさんだ。
怒りに飲み込まれずに居られるのも軍隊時代の訓練のおかげだった。Al:Spawnは自分が座る玉座の横の壁にThe Curseを磔にした。何か戒めにでもなるか。だが無駄であることはAl:Spawnが一番知っていた。
その頃、ワンダは謎の人物である「スポーン」を探していた。
夫のテリーはマフィアだけではなく同じ局の人間からも迫害を受けていた。眠れずにベットに腰掛ける夫の姿を見るたびに、ワンダはテリーが巻き込まれている事態が複雑であることを感じていた。そんななかで「スポーン」という人物がテリーの命を救ったのだという。
ワンダは「スポーン」を追い求めて路地裏に訪れていた。
既に40人近くのホームレスに問いかけても皆が口を塞いていた。
ついにワンダは報酬としてお金を差し出すと、一人のホームレスが「スポーン」の玉座へと案内した。ワンダが訪れると玉座には「スポーン」の姿はなかったが、横の壁には誰かが磔にされていた。ワンダは恐怖を感じて立ち去ろうとするが、運悪くストリート・ギャングたちに捕まってしまう。「誰か、助けて!」 ワンダの叫び声が空しく響くなかで、路地裏の影からAl:Spawnが現れる。Al:Spawnにとってはストリート・ギャングを退治するなど造作もなかった。だがAl:Spawnは襲われていた女性の顔を見て、つい　呟いてしまう。
「ワ、ワンダ?」
「あなたはどうしてテリーや私のことを知っているの?」　そう問い詰めても、「スポーン」は誤魔化すだけだった。泥に汚れたワンダを気遣い、Al:Spawnが手を差し伸べると、ワンダは恐怖で身を引いてしまう。「ただ、お礼を言いたかったの」　そういってワンダはテリーとサイアンと一緒に写っていた写真を Al:Spawnに手渡し、逃げるようにその場を立ち去った。
玉座に座り、ワンダから渡された写真を見つめていたAl:Spawn。既に3時間が過ぎていた。そしてその写真を手放したのは2時間後だった。