SUMMARY :
IMAGE COMICS.COM
As the force used by the police against Al Simmons continues to escalate to surprising levels the Freak gets closer to discovering the information he was sent to find.
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SCRIPT / PLOT | Todd McFarlane | Publishing coordinator | Yvette Arteaga |
ART | Mike Del Mundo | Production Artists | Zabriel Kennedy |
COLORS | Mike Del Mundo Marco D’Alfondo | Ryan Keizer | |
LETTERING | ANDWORLD DESIGN Tom Orzechowski | Intern | Imani Davis |
COVER | Mike Del Mundo | Publisher for Image Comics/Chief Creative Officer | |
CREATIVE DIRECTOR | Todd McFarlane | Eric Stephenson | |
EDITOR-IN-CHIEF | Thomas Healy | ||
SPAWN created by Todd McFarlane |
機動隊はAl:Spawnに手を挙げるように命じたが、彼は応じなかった。機動隊の更なる命令にも無視をした。機動隊の 1人が彼に手錠をかけようとした時、彼はAl:Spawnの腕を動かすことができなかった。彼らはAl:Spawnの行動を「逮捕に抵抗している」と判断する。機動隊は2分間、逮捕しようと試みる。効果はゼロ。大量の隊員が逮捕を試みているにも関わらず、Al:Spawnを1インチも動かせない。群衆はスマートフォンをかざしてこの事件の光景を撮影している。
平和的な抗議として始まったものは、何十人もの騎馬警察が群衆を解散させようとしたため、やがて抗議デモは暴動に発展した。テレビの報道は重症の子供を映し出していて、騎馬警官の馬によって負傷したことを伝えている。
「負傷した人の中には、徒歩で逃げようとした少女がいました。情報源からは、これまでのところ彼女の怪我の程度を確認することができません。警察からは、群衆の行動がエスカレーションした原因についての回答はありません。このニュース映像でわかるように、警察は「SPAWN」と名乗る男を取り囲んでいます。」
機動隊のJimmyは言う。「もう十分だ。下がれ!」そう言うとJimmyは銃をAl:Spawnに向ける。「貴様は抵抗している!それは私に致命的な力を使う権利を与えることになる。動くんだ!」するとAl:Spawnはマスクを脱いで手を挙げる。Al:Spawnは武装をしていないことを示すが、銃弾が放たれる。しかし、銃弾はAl:Spawnの手前で停止する。群衆はスマートフォンでのその光景の撮影を続けていた。群衆にはAl:Spawnが武装していないことが伝わっており、胸部を銃撃されても彼が全くひるまない姿を目にしていた。機動隊のなかでもJimmyの行動を非難し、それを止めようとする者もいた。群衆の前ですべき行動ではない。
どこかにある、廃棄された倉庫にて。
The Freakがそこにいた。Al:Spawnが彼に与えたミッションはシンプルなもの:彼らのファイルを見つけ出せ。そのうちの1つしか取得できない場合は、「F」という文字が付いたファイルであることを確認しろ。The freakは入手したファイルから関係者の相関図を作成した。それは理にかなっている。The Freakの特徴は、彼が関心事に心を向けると、何でも見つけることができるということ。
どこかのDinnerにて
ウェイトレスは客からオーダーを取っていた。男の客はあと少しだけの酒を注いてもらうと、自分が使えるトイレがあるかを問う。ホールを降りて廊下の先を左に。だが、ここ数日、管理人が病気に伏せているので注意が必要よ。男はウェイトレスの言うとおりに行ってみるが、そこは荒れ放題になっていた。他の扉はロックされていた。すると明かりが消える。「Hello, George.」そこにはThe Freakがいた。The Freakの目的は、Georgeが持っていたブリーフケースだった。Georgeは中には何も入っていないと答えるが、The Freakはブリーフケースを無理やりに開ける。そしてThe FreakはGeorgeにフォルダの中身を解読するように迫る。
一方、Al Simmonsはまだ通りにいた。手を挙げて無抵抗を示している。2時間が経ち、スマートフォンのライトが彼を照らしている。だが、彼はそれを望まない。闇にいてこそ彼の存在意義がある。12分後、S.W.A.T.が到着する。彼らはAl Simmonsの身体に鎖を巻きつけた。そしてその鎖はS.W.A.T.の機動車に結び付けられており、号令と共に機動車を発進させた。だが、Al Simmonsはびくともしない。やがて荷重に耐えきれずに鎖が切れてしまう。勢いがついた機動車は店に突っ込んでしまう。2 台の車両による店舗の損傷により、市は 100 万ドル近くの損害を被ることになる。それでも諦めない者がいた。機動隊の一名がAl Simmonsに食ってかかる。「お前が何をしたいのか分からんが、これを終わりにしなければならん。」最後にチャンスだと言い、数名の機動隊員がAl Simmonsへと銃口を向けた。Al Simmonsは武器は持っていないと言う。機動隊員はどけを叫び、一斉に射撃をした。無数の銃弾がAl Simmonsに放たれたが、彼は無傷だった。そして怯むことは無い。Al Simmonsの身体が緑色に光る。そして一瞬、通りの混乱の中ですべてが止まった。上空には警察のヘリが到着し、数台のパトカーも現場に急行する。ニューヨークの市民たちも「不動の男」の噂を聞きつけ、集まってきていた。一方、抗議デモで負傷した子供は、バリケードの中で処置を受けていた。そしてこの男にとって、このヒーローにとって、あの少女の生命こそが全てだった。彼女は自分たちの過去のシンボルともいえる。機動隊は最終的にネゴシエーターを送り込んだ。ネゴシエーターがAl Simmonsが語りかける。彼女は礼を言うと、あなたが何故、ここにいて、何か助けになることはないかを問う。あなたが何も言ってくれなければ助けることができない。Al Simmonsは彼女に助けはいらないと答える。あまりにも無粋な態度を取るAl Simmonsに業を煮やしてネゴシエーターは彼の元から立ち去る。
その頃、The FreakはGeorgeから聞き出した手がかりを元にファイルについて熟考していた。Spawnが言うには、地球上に何人の悪魔と天使が隠れているかのリストとのことだった。GeorgeはThe Freakに強制され、ファイルの解読を試みる。すると12のファイルがあると言う。デトロイトの南にあるビルにあるが、住所は分からないと言う。彼らは特定の薬を開発していた。新兵の心理状態をコントロールする薬。独裁者たちはその開発のためには数十億ドルを支払うことも厭わない。しかもこれはバックアッププラン。悪魔や天使たちが潜ませたエージェントの活動がとん挫した際の別プラン。The Freakは辛抱が出来ずにGeorgeを殺害する。
一方、Al Simmonsは未だに通りに立ち続けていた。機動隊はついに重機まで持ち出してきた。救急車のなかでは負傷した少女が恐れて母親に抱きつく。母親は大丈夫よとなだめた。ネゴシエーターはもう一度Al Simmonsの元に行き、その真意を問う。Al Simmonsは答える。「君は間違った問いをしている。何故、君はこれに加わらないのか? 君は女性だ。これが分かるはずだ。この場にいろといつも言われ続けている。『ルールに従え』と。彼らのルールだ。問題は私が何故、立ち続けているかではない。君ならどうする? 」ネゴシエーターはあなたから馬鹿げた講義を受けるつもりはないと言う。it just brings unwanted violence. 望まない暴力をもたらすだけ。だが、Al Simmonsは全く逆のことをしているだけだと言う。彼が「Freak」を送った任務を考えると、彼はその声明の偽善に本質的に気づいている。ネゴシエーターが立ち去るとついに重機がAl Simmonsへと突撃する。Al SimmonsはSpawnのコスチュームを身にまとう。重機のアームはSpawnのマントによって動きを止められる。そして荷重に耐えきれずに重機のアームが折れてしまう。次には戦車まで繰り出されていた。
「Al Simmons中佐、私はバウアー将軍だ。君が優秀な兵士であったことを知っている。Son。」だが、Al Simmonsはあんたの息子なんかじゃないと突っぱねる。将軍が立ち去ると、戦車の射撃兵は将軍の命令を乞う。するとそこに負傷していたJadaがAl Simmonsの元に駆け寄る。彼女も戦車の標的になっているのは分かっていた。だが、自分を助けてくれたAl:Spawnを助けたい気持ちで一杯だった。彼女は泣きながらAl:Spawnに抱き着く。Al:Spawnは君は大丈夫かと聞く。Jadaは体調は良くなってる、あなたは十分に助けてくれた、ありがとうと答えた。母親は駆け出した娘を案ずるが、Jadaは母親に、泣かないで、全て良くなるわと答えた。
Al Simmonsはそれを聞くことを待ち続けていた。たった一言、「私は大丈夫よ。」という言葉。その言葉を聞けた我らがヒーローは闇の中へと姿を消していく。
そしてミシガン州デトロイトの裏通りで。
The FreakはGeorgeが言っていた12のファイルを見つけ出していた。だが、最も大事な部分が抜け落ちていた。彼らが言っていた「F」は違っていた。人間に変装し、地球に隠れていた人々の一部が含まれていた。そして、彼らは内輪のなかで誰もそれを「ファイル」と呼んだことはなかった。
どこかの貸倉庫。棚には段ボールが積まれていて、大きな文字で「F」と記載されている。それは無数に存在していた。それはファイルという類のものではなかった。むしろそれ以上。はるかに重要なもの。まさしく天国と地獄が望んでいる、そのものだった。
アメリカン・コミックスに限らず、数多のヒーローが人智を超えた能力を持ち、その力を誇示するがためにスーパー・ヴィランの存在が必要とされるなかで、敢えて戦わない姿を見せたSPAWNはその潔さがあまりにも素敵に見える。機動隊の発砲、ネゴシエーターの登場、機動車や重機、戦車まで登場するなかで、現れたバウアー将軍の言葉にも答えない。彼が望んでいたのは、少女が「I’m Okey」と言えるようになる。その一言をただ待っていたというもの。
キアヌ・リーブスが出演した「世界が停止する日-The Day the Earth Stood Still」において彼はクラトゥという生命体を演じているが、彼が突き付けたのは「地球が滅びる前に人類を救うか救わないか」ということ。その判断と警告をしに来た。人智を超えた存在。彼は最後に謎の球体に触れて「クラトゥ バラダ ニクト」と言うと、彼に放たれていたナノマシンは停止し、地球の電気系統も全て停止する。それほど人の行いは愚かなもの。
だが、SPAWNは何もしない。ただ、少女の言葉を聞くことが出来て立ち去るのみ。彼が能力を使ったのは自分に放たれた銃弾を受け止め、重機などによっても移動させられようとしてもその場に立ち続ける、その時だけ。彼に向けられた暴力こそ「Unwanted Violence」であって、暴力に暴力で答えても何も生まないことを体現したと言える。これは老兵が身体に鞭を打って新たな戦いに挑んだダークナイトとは全く逆の姿勢であり、すぐに暴力に走る者たちに愚かさを突き付ける作品と言える。
敢えて言えばファイル’F’の結末は謎のままという面もあるが、天国にしろ、地獄にしろ、その勢力争いの中で戦いのなかから脱することが出来ない者たちはむしろ、SPAWNにとっては「愚か者」なのだと言える。これまで自分の死、妻の死などで何かと争い事へ自分から関わっていったSPAWNがここにきて見せた「非暴力」の姿はとても強いメッセージを伝えている。ある意味、She-SpawnがリーダーであるThe Scorchedの面々が戦いに身を委ねていることへのアンチ・テーゼとも言える。
2巻だけの短い作品ではあるが、「Dark Knight」にも匹敵するような秀逸作品になったと思える。絶対的な力を持つ者がその力を使わない姿は、抗議デモでは止まらずに暴徒と化したデモ隊へのメッセージ。その攻撃性により、一人の少女が負傷をしてしまうことへの、人々への愚かさを戒めているものなのではないか。2023年現在、世界は戦時下にあるが、本当に暴力に対して暴力で対抗していいものなのか? それすら暗示させる作品とも言える。むしろ、この状況下においてこの作品を発表すること自体、大衆には嫌悪を感じさせかねないとも言えるが、敢えて今、この作品を発表したImage Comics、Todd McFarlaneには尊敬の念を感じてしまう。
SPAWNをRory McConvilleが、The ScorchedとKing SPAWNをSean Lewisが描いているなかで、Todd McFarlaneがこの作品を描いたことは彼が感じているものを、自分の創作物であるSPAWNのなかに落とし込んだ結果だろう。その意味ではTodd McFarlaneにしか作れなかった作品だと言える。
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