SPAWN #144

Al:Spawn:「俺に赦しを乞うんだ。慈悲を嘆願しろ。そして天界が俺に見せた慈悲をお前にも見せてやろう。お前が地上に戻ってくる時間だ。俺たちの休息場である泥とちりにまみれてお前がもがく時間だ。正しさなどない。」Al:SpawnはRedeemerの剣を彼の翼にあて、切り裂いていく。Al:Spawn:「神に祝福された者もいない。」A:SpawnはRedeemerの翼をもぎ取ると、もう一方の翼を剣で切り裂く。Al:Spawn:「天界は俺に関心を示さなかった以上にお前のことも気にしちゃいないさ。」そしてRedeemerは両方の翼が切り取られる。 Redeemer:「神よ、僕をお許しください…　僕は劣っていた。貴方を失望させてしまった。」するとRedeemerの変身が解かれ、そこには少年のエディが横たわっていた。

Nyx:この世界は自身の輝きを失っていた。私の目は視力が弱くなり、私の感覚は麻痺していた。全ての物が粗雑で平凡なものに見える。私は取引をして、私のパワーは剥奪された。私の姉妹たる月は空の海原に昇ってきていて、私をじっと見ているかのようだった。私は月に審判を感じて恐れていた。私は軽率で、愚かだった。そして私は第一の法則―危害を加えない―を破ってしまった。私は何も切望も無しにただ月に赦しを乞うた。私は立派な人間ではないことを知っている。しかし月は時々寛容な時がある。 だが、月の方角から黒い集団が現れ、どんどんと近づいてくる。それはカラスの集団だった。月の審判は黒く滑らかな翼をもってやってきた。それは獰猛な口ばしと鋭い爪を持っていた。甲高く耳障りな叫び声は耳をつんざくようで、だがメッセージは紛れもないものだった。私は糾弾された。見捨てられた。黒い集団は解かれていき、そして私は一人になった。

Eddie:僕はどこに…. Al:Spawn:「俺はこの少年を知っている….」Mammon:「彼はそのままにしておこう。私たちの小さなドラマでの彼の役割は終わった。少なくとも今のところは。彼は我々には関係ないことだ。我々には話し合うべき大きな問題がある。」 Al:Spawn:「貴様！　貴様のしわざだな。」Mammon:「勿論、私だ。私がいろいろなことを背後で操っていました。」
すると何故か、Al:Spawnの鎖はMammonの指示に従い、Al:Spawnの身体に巻き付いていく。Mammon:「私は貴方を粉々にし、弱く、脆弱なままにするために愚かなクラウンを送り込みました。私は貴方の可愛い小さな友人に裏切るように操りました。 私は魔女と交渉し、彼女が考えた事、彼女が欲するものを彼女に与えてきました。彼女は自分の振舞いが私によるものだと知りませんでした。事実、彼女は私よりも優勢であると考えていました。貴方は何を引換に差し出したか、知っていますか？ 貴方にも見当がつくんじゃないですか？　彼女のパワーです。貴方を守る彼女のパワーです。理解してください、私は病気の人間です。どんな人にも想像しえないほどの重症患者です。生物の変化は少しづつですが行なわれています。そして歴史はようやく巡り来ました。私が得ようとしている王位はすぐに私のものになります。 貴方はそれの手助けをしてくれました。」Al:Spawn:「王位だと？　俺は王位など得ていない..貴様が欲しいなら、あの老人(カリオストロ卿)と取引しろ。俺には関係ない。」Mammon:「なんて愚かなことを。貴方は全容を見るのにいつも時間がかかる。」Al:Spawn:「俺は王位など欲していない。」 Mammon:「私が欲しいのは魔界の王位ではありません。私は貴方の存在を妬んではおりません。貴方の存在は、幾つかの宇宙規模のチェスゲームのポーンであることです。だが愚かなお仲間に対して素っ気なくすることはありません。何故、初心者は身分の低いポーンを価値を理解できないんでしょうか？　 初心者はクィーン、ナイト、ビショップのような煌びやかな駒に幻惑されます。初心者は洞察力や忍耐強さに欠けています。ポーンは本当に重要になるのです。勝利を掴むための鍵になり得ます。ゲームのなかでポーンを長く持ち続けること、ボードのうえでポーンを遠くに動かすこと、そしてポーンはとても重宝になる何かへと変貌するのです。そう、貴方はいかに変貌を遂げるのか？最初に貴方は当然、罪の減免を与えられるだろう。この世界で貴方が何よりも尊重する１つのものだ。そして私は貴方からそれを取り去ろうとしている。」 Al:Spawn:「貴様は何者だ…？」Mammon:「そしてその後、いかにこのゲームを終わらせるか、貴方に問うつもりだ。そして私は貴方を忘却へと誘う。しかし貴方は、私が行動を呼びかけるまで、貴方のなかに凝り固まった酷い知識を持ち合わせている。そして手遅れかもしれない。だが、最初に私が言ったように私は貴方から何かを取り去ろうとしている。私は貴方に最後にもう一度、彼女に対して貴方の関心を集中させたいと思う。それらの２つの小さな音節が貴方の魂のなかで教会のベルのように鳴り響いている。 ワンダ。最初に貴方が出会い、貴方の目は一瞬で交差し、そして次の瞬間には永遠に釘付けになっていた。その瞬間を貴方は知っていますね。その瞬間の思いを消す..全ての記憶、全ての瞬間、全ての思いや希望、夢。私は貴方からそれらを取り去ろうとしている。私は貴方を自由にしているのだ。貴方の手が触れた初めての時、穏やかな空気が貴方の間を流れていった。まるで羽毛のような、稲光のような….その時の思いは今、消失した。二度と思い出すことはない。最初のためらいがちな口づけ…消失した。二度目の…切望した…何度も交わした…消失した。全ての口づけの思いは続けて消えていく。 彼女の髪の香り…彼女の背中の曲線…彼女の瞳のなかの輝き…消失した、消失した、消失した、彼女の身体の温かさ、彼女にかかる貴方の身体の重み、肉体的な至福の時に初めて彼女が声を上げた時のこと…消失した。教会の側廊を歩き、天真な約束と完璧な未来への冒険的な夢…消失した。貴方の恐怖心や嫉妬、今までの疑いに対する罪悪感….消失した。全ての闘い、全ての笑み、貴方が金貨よりも大事にしていた、全ての一見ありふれた現世の瞬間、それらは全て貴方から離れていった。１つ１つが色褪せ、突然見えなくなり、消失した。全てが去っていった後に残るのは記憶のおぼろげな微かな痕跡のみ。 貴方にとって眩しく光る誰か、太陽のように貴方を暖かくする誰か、その誰かの思い出…貴方の人生のなかで、かつて一瞬でもあり合わせた純真で善行な知識によって貴方を星へと導く…そんな悲しい記憶も消失した。永遠に消失した。全てが存在すらない。」

道路沿いにアル・シモンズが立っている。目には輝きがなく、虚ろだ。アルは「Destination:Anywhere(行先はどちらでも)」と書かれた紙を胸に掲げ、ヒッチハイクをしていた。