Sep 27. 2024
2010年7月に新ブランドReal Gradeの第一作目として登場した「RG 機動戦士ガンダム RX-78-2(以下、RG1.0)」から14年が経過したなかでリニューアルした「RG 機動戦士ガンダム RX-78-2 ver. 2.0(以下、RG2.0)」
当然ながら販売までに期待が高まりました。Youtubeやブログ記事で既に多く紹介されています。その多くが「バンダイ、恐るべき」「可動域、半端ない」など絶賛されています。
ただ、初期不良が2つほどありました。
①頭部の装甲を取り付けるとバルカンが奥に埋まってしまい、イラストのように前方に出て来ない。
②頭部のひさしを差し込むと頭部との間に隙間が出来る。
さてRG1.0では革新的な趣向が取り入れられるも、ポージングをする際に外装がポロポロ取れるという不満がありました。ユーザーの愚痴では終わらず、バンダイもきちんと受け止めていてRG2.0ではポロリは見かけません。逆に取扱説明書とは別にwebにて「内部フレームだけを組み立てる」説明もされていて、まさに「モビルスーツを組み立てる」ことを疑似体験することが出来るようになっています。
前述のようにいろんな方が記事を出していますので、私はこの記事のタイトルの「楽しいか?」について述べていきたいと思います。
①あまりにシビア
引用:バンダイホビーサイト |
組み立ては胸部から始まります。この胸部の内部フレームもかなり多くのパーツを組み上げて完成しており、この段階では「何が出来上がるんだ?」というワクワク感がありました。
前述のように内部フレームに装甲を取り付ける楽しさは組み立てるだけではなく、「いつでも装甲は取り外せて、例えば製造途中や整備中といった形が飾る (整備士などを用意するのも楽しい)ことも考えられていると思います。
そう、組み立てている際に「整備デッキをどこかで購入してからこいつをもう一つ購入して「整備中」のジオラマなんて作りたいな」と思っていたわけです。
さて画像を見ていただくと、今回の胸部ダクトはRG1.0が内部に入り込んでいたのに対して、RG2.0は外部装甲の上に被せるものとなっています。
ところが、このダクトは留め金の役割を持っていました。順番に説明すると
①内部フレームに胸部装甲を横からはめ込む。
②胸部ダクトには内側に2つの突起があり、胸部装甲に被せながらこの突起は内部装甲に差し込む。
胸部装甲を内部フレームに取り付ける際にも凄くコツが必要で、背中側を先にはめながら前方も上手く押し込みます。かなり力を入れないとここがきっちりとはめ込めません。
問題はここからです。きちんとはめ込んだつもりでも胸部ダクトが差し込めない。
本当に何度も胸部ダクトの左右を取扱説明書と照らし合わせて確認しているのですが…
一応、十代の頃からプラモデル作りは途切れることはなく続けてきています。タミヤの戦車など接着剤が無いと作れないものから始まり、ガンプラ作りを始めました。ここでかなりスナップキットに慣れてしまったのだと思います。感覚で部品を取り付けてもサクッとはまる。ある意味、これはガンプラ作りの楽しさの一つでもあると思います。
話を戻しますと、胸部の外部装甲を横からはめ込むわけですが、
①内部フレームの胸部には胸部ダクトを差し込む穴が2つある。
②外部装甲の前方はこの穴が見えるために四角の枠状態になっている。
これが横から差し込む際にかなり力を入れないと2つの穴が外装の枠のなかに見えてこない、特にコックピット側である内側の穴は外装の枠が隠してしまうわけです。
「えっ、なんで?」と思いました。それこそ胸部装甲を削ろうかとも思いました。
落ち着いて考えると、「押し込んでからその手を離して胸部ダクトを拾いに行く」のは無理だと分かりました。
胸部外装を横から手で押し込みながら手を離さずに押し込み続けながらなんとか穴が見える位置をキープし、そのまま胸部ダクトを外から差し込む。
胸部ダクトが留め金になっているので、装甲を取り外すにはまず胸部ダクトを外す。
これはRG1.0のポロリに対する改善であり、確かにこの胸部装甲はポロリはしないし、ガタツキもしません。しかしそれこそ30分以上は格闘しました。
それで「もうこの胸部ダクトは外したくない。」という気持ちで一杯になりました。
「はぁ~」
気持ちを取り戻すために取扱説明書を眺めることにしたのですが、ある文字が目につきました。
「対象年齢:15歳以上」
RG1.0でも対象年齢は15歳以上でしたが、RG2.0は「15歳以上で、ガンプラ製作の経験を積んだ人」だと思います。
②コアファイター
胸部の制作が終わってからは、不具合があった頭部の制作になりましたが、ここは楽しく作りました。ここで早くも墨入れを行ったりして「また違う顔つきだな」とワクワク感が戻ってきました。
そしてコアファイター、というか機首のコックピットです。
説明書通りに組み立てて、
「これでコックピットを胴体側にずらしてコアブロック状態に変形するのか」
そう、そうやって押し込まれた機首部分ですが…
「この機首、胴体から抜けないじゃん…」
もう一旦ばらしました。機首部分だけを胴体に取り付けて抜き差しを…
いや、その状態ですら抜けない。
コアファイターは今まで何度も作りましたが、確かに機首を出して飛行機タイプに変形した際に機首がグラグラすることがありました。そういう意味ではRG2.0の保持力はいいのですが…
「いや、もう機首を押し込みたくないよ。」
でもガンダムの胴体にセットするにはコアブロック状態に変形しなければ…
結局、金属やすりとデザインナイフが少しづつ胴体部分の内側を削りながら調整しました。
うん、抜き差しは出来るようになりましたよ。でも機種がガタつくようになった。
気を取り直してガンダムの胴体に差し込むと、それこそ壊れそうと思うくらいに押し込まないといけない。
「もう、コアブロックはガンダムから取り外したくないよ。」
あれほど苦労した機首部分、でも既にコアブロックはガンダムにはめ殺しです。
次に腰部を作って分かりました。腰部には赤くて下部の外部装甲にある軸を差し込みます。
ガンダム上半身<コアブロック<下部外部装甲<腰部
背中側に上半身から下部外部装甲を固定するロック機構があります。
コアブロックがきちんと上半身に入っていないとこのロック機構が下部外装に届かなくなります。
またコアブロックには一部に可動部分があり、上半身を前に傾ける際に稼働します。
ただコアブロックは差し込むのでなく、ロック機能を有効にするために奥まで差し込んだうえで、上半身を前に傾ける際に負荷がかかるようになっている。
だからあんなにコアブロックを差し込むのに苦労したのか。
③部品の小ささ
RG1.0では腰部にアドバンスドMSジョイントが組み込まれています。腰だれが前方で2枚、サイドで2枚、後方で2枚あります。前方・後方は腰部に差し込むのですが、これがポロポロ取れる。
また2017年のRG・ユニコーンガンダムではサイド部分は取り付けようとするとアドバンスドMSジョイントから出ている部分がくねっと曲がってしまいます。この部分が曲がらないように力を加減して取り付けると簡単にポロリと取れます。最近は宇宙世紀以外のRGが登場しているので作っていません。
そのうえでですか、RG2.0では一切、アドバンスドMSジョイントがありません。それは良い事なんですが、例えばこの腰部ではその機能に匹敵するような内部フレームを作ることになります。それはそれで面白い。ただ、あまりにもそれぞれの部品が小さすぎる。
「指、攣りそうだよ…」
しょうがないんでしょうね。ただ、これにもかなりストレスを感じます。
最後に
もしこの記事が目について「なんだろう」と読んでいただいた方には愚痴ばかりを聞かせてしまいまして、申し訳ありません。
他にも「ちょっと胴長じゃない?」という部分もありますが、RG1.0の不満を改善してあって良いプラモデルだと思います。合わせてポージングの面にも気を使ってくれています。確かにかなり考えられた構造になっているとも。
いろいろな絶賛ばかりをインターネットで見ていて「久しぶりに作るか?」と思われたり、若年層が「初めてのガンプラ」として接することもあるかと思います。
挑戦するのに対しては止めることはないです。ですが、せめて金属やすり、デザインカッターは用意したほうが。作り込むなら塗装なども揃えると更に面白いと思います。
では、面白いか。
もしかしたら最初の胸部ダクトの部分で「はまらないじゃん。」と投げ出す人もいるんじゃないかな。
文中に言いましたが、ガンプラの特徴の一つがスナップ・キットであるということ。接着剤は不要で、部品ごとがサクッとはまって、そのぱちぱち組み上げるのが楽しい。
それを住み分けとして「手軽なものが好みでしたらHG、ハイグレードという商品がございます。」というバンダイの考えも分かります。
そのうえで出来上がったガンダムに早くポージングを取らせたい。そのためにはかなり苦労があり、ストレスを感じるのも我慢しなければならない。
何しろコンセプトは「保持力第一」ですw
2020年12月に発売されたPG UNLEASHED 1/60 ガンダム RX-78-2があります。
これも組み立てました。これ、本当にサクサク作れてパーフェクト・グレードなのに「もう出来上がっちゃうの?」とさえ思いました。出来上がったものを動かす前に組み立てるのが凄く楽しかった。
もしかしたらプラモデルってこっちがメインの楽しさじゃないかな?
とはいえ2024年の最新のRGであり、面白かった。今回はバンダイもウェザリング塗装を推していて「作り込んでほしい」のでしょう。Youtubeを見てみると「迂闊に手を出すと失敗するガンプラ」の一つとしてRG1.0を紹介する動画を見かけます。今は熟練したモデラーがRG2.0を作って絶賛していますが、この熱が冷めるとRG2.0が「迂闊に手を出すと失敗するガンプラ」として紹介している動画も出そうです。
ここまで読んでいただいてありがとうございます。別の記事で「ARTPLA SCULPTURE WORKS エヴァンゲリオン2号機獣化第2形態ザ・ビースト“ジオフロント血戦”」を紹介しているくらいはプラモデル作りはやっているほうだと思います。それこそあれも技術がないと出来上がらないですね。そういった自分の技術を自慢しているのではなく、いろいろとHGのガンプラを作ってみて「そろそろRGにも挑戦してみるかな」という感じのほうがいいと思います。
映画「シン・ゴジラ」が好きで、AH-64D アパッチ・ロングボウ、OH-1 ニンジャ、AH1S コブラ、F-2なども作りました。歪みがあったりして昔に作ったプラモデルを再認識したことを覚えています。プラモデルってこういうものですよね。ガンプラで随分甘やかされました。いいものを作るにはやっぱり苦労は必要です。
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