SPAWN #63

Steve “Spaz” Williams:映画「SPAWN」にてVisual Effects Supervisorを担当。

ホームレスは驚きを隠せなかった。アルという名以外は謎の人物であるスポーン、その彼の顔は焼け爛れていて醜かった。だが、そのことにはホームレス達は触れないことにしていた。だが今、目の前にいるスポーンの顔は元の人間の顔に戻っていたのだ。Al:Spawnも俄かに信じられなかったが、水溜りに映る自分の顔はかつてのアル・シモンズのものだった。

ホームレスはこの奇跡に色めき立っていた。仲間たちに伝えようとするが、Al:Spawnはそれを制した。もしかしたら一時的なものかもしれないのだ。ガラス瓶を拾い上げたAl:Spawnは自分の顔を映してみた。目には瞳がない。 単にネクロブラズムが昔の特徴を真似ているだけにすぎないかもしれない。アンジェラが自分の元に現れたのも偶然ではない。

何かが起きても自分の運命は一向に変わろうとはしない。自分の顔を取り戻したこともすぐに元に戻ってしまうかもしれないのだ。そう考えたAl:Spawnは玉座に座り、禍々しい蛆虫たちとのオーラの交換儀式を始めていた。

その頃、ジェイソン・ウィンは自分の執務室に厳戒態勢をしいていた。彼は呼び寄せた司令官Hullとともに防衛ラインの確認をしていた。謎の人物であるスポーンはどんな厳重な防衛網があろうと執務室に現れると宣言していた。それを黙って鵜呑みにするウィンではない。市警、FBI、SWAT。あらゆる手段を使って防衛態勢を固めていた。

やがて夜が明け、路地裏にも朝日が差し込む。玉座から身を起こしたAl:Spawnは主に忠実な寄生コスチュームに命令を下し、スーツ姿へと変身させた。瞳のない目を隠すためにサングラスをかけたAl:Spawnはテリーの家へと向かった。サイアンと遊んでいたテリーはAl:Spawnの姿を見つけると驚きを隠せなかった。そこにはアル・シモンズがいたのだ。Al:Spawnはテリーにウィンへの復讐を告げ、テリーたちの身に危険が訪れないようにすることを誓った。

一方、サムとトゥイッチの元にも路地裏に捜索が入ったという情報が届いていた。しかもスポーンが子供をさらったという情報もある。幼児連続殺人であったビリー・キンケイドの死体が彼らの事務所に吊らされた事件からいろいろなことが変わっていった。彼らはスポーンの謎の行動に何かの意味があるのかを思案していた。

そして夜が訪れて、Al:Spawnは銃を手に臨戦態勢へと入っていた。傍らにはカリオストロ卿がおり、Al:Spawnに忠告をする。お前の行動で影響を受けるのはいつも周りの人間たちだ。今回の事件によって自らの身体に訪れた異変はウィンへの復讐以外にも使う道がある。ウィンに復讐を果たせば魔界の思うつぼだと。そう、諭すのだがAl:Spawnの決意は固かった。Al:Spawnは銃を片手に路地裏からジェイソン・ウィンの執務室へと向かった。